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行動喚起に関しての雑記

最近行動喚起に関してインプットしたので、今回はその学びを整理します。

そもそも行動喚起に興味を持った背景としては、広告医学の取り組みにしろビジネスにしろサイエンスコミュニケーションにしろ、

 

対象に伝え、作用する(行動まで繋がる)

 

ことが本質的であり、肝要であるな、と考えたためです。

 

 

●行動とは?

・人はモノや健康などの概念と、行動を通して繋がっている

人は座禅のように一切の動きを止めてみると、自身と外界との区別が曖昧になるそうです。ここにも読み取れるように、人と外界、すなわちモノや動物の接点となり、様々な情報を収集する際の起点となるのは、自身の行動であると考えます。

 

・人は行動により何らかの運動エネルギーや時間、お金を消費する

人は行動によりシンプルに疲れ、また、お金や時間を消費します。ゆえに面倒臭く、なかなか動きません。それを知った上で、壁=行動しない要因は何かを策定し取り除くことがクリティカルです。

 

・行動へのきっかけとして強いのは、情動と呼ばれる強い感情(怒り、喜びなど)

行動へのスイッチを入れるのは、最後には情動=強い感情です。いかにそのような感情を励起するか、に行動デザインの勘所があると感じます。

 

●仕掛けとは?

・仕掛けとは、人が思わず行動してしまうようなパス

仕掛けを通じて、自然に無意識化において行動を誘発するものです。その際、行動者の目的と仕掛者の目的が異なることが一つ条件として挙げられます。

 

・良い仕掛けに共通する要素とは?

上達できる(自己実現、参加意識)

適度な難易度に設定されている(飽きさせない、サステイナビリティ)

他の人に認められる(承認欲求、社会証明)

射幸心があおられる(内なる快楽)

といった要素が、良い仕掛けの条件として挙げられます。

 

・エネルギーコストの考え方

人は基本面倒ごとはしたくなく、その面倒(エネルギーコスト)を行動によりもたらされる便益が上回ると判断した/直感した際に行動が実現する、と考えることができます。

ゆえに、行動が起きる理想状態との差異を生じさせる壁がどのようなエネルギーコストに結びついているかを吟味し、そこを調整するような行動デザインが効果的です。

 

 ・機会損失の方が強い行動の動機になる

プロスペクト理論(人は確実に利益を得ようとし、最大限損失を回避しようとする)は行動といいう側面においては、損失を回避しようとする/機会損失を最小化しようとする場面においてより行動が実現しやすいという形で現出します。

 

・人間の行動にも慣性の法則が働く

何かを0から新しく始めること/進行中の行動をやめる(加えて、別の何かを始めること)はエネルギーコストが大きく、なかなか行動に移しにくいものです。ここには行動における慣性の法則がうかがえ、止まっているものは止まり続け、動き出したものはなかなか止まらない様子が共通しています。

 

●行動を誘発するのは?

上述の通り便益が負担ないしはエネルギーコストに勝っている間しか人の行動を変えることはできないので、理論上は便益と負担が交差するポイントが仕掛けによる行動変化の分岐となります。

その際、どのような速度で両者の大小が逆転するのか、という過渡期のキモは、

①大きな情動を誘発し、便益を増大させること

②エネルギーコストを減少させること

 

にあると考えます。

 

・いかに大きな情動を抱かせるか?

①においては、人々が抱くであろう情動の大きさをいかにデザインするかという点に尽きると考えます。伝わりやすさ、一人称で捉えやすい設計、などの要素は外せない要素でしょう。

 

・いかにエネルギーコストを下げるか?

②においては、アナロジーによる異質馴化の活用と既視感の醸成、社会証明や権威による信用の見える化アクセシビリティの向上などのアプローチが考えられます。

 

いかにシンプルで楽な構成で、わかりやすく自分事として、大きなインパクトを心に残せるか、という点を追及せよ、ということでしょうか。

 

[参考図書]

人を動かすマーケティングの新戦略 「行動デザイン」の教科書

人を動かすマーケティングの新戦略 「行動デザイン」の教科書

 

 こちらはビジネス目線で、実例も対話形式で細かい描写が豊富な設計となっており、読者の手元での再現性を意識している様子が伺えました。

 

仕掛学

仕掛学

 

 対して、広く「仕掛け」を科学し、一般化しており、シンプルに好奇心が刺激され、また知見をビジネス/非ビジネス問わずに汎用性高く活用できそうです。

 

医療もマーケティングも、リテラシーを向上させることと同様以上に、いかに結果に結びつけるかという点がもっと議論されていくべくであると感じます。

そこで実務でも活かせる知見の詰まった2冊であり、入門として良い形であったという読後感です。今後深めていこうと思います。